見やすい発表資料を作るために

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今回はスライド資料を作るために心がけていることをまとめました。
参考にしていただければ嬉しいですが好き嫌いや所属機関の習わしや
教えがある場合はそちらを優先することを強くおすすめします。

また普段からMicrosoft OfficeのPowerPointを使用しているため、
細かい操作の話はパワポに則っています。

目次

  1. KUB
  2. 見やすさとは
  3. PowerPoint上でスライドを作る
  4. まとめ

1. KUB

前回の記事の冒頭に引き続き「こんな胡散臭いブログ参考になるか!」
という方のためにおすすめの情報源を紹介します。

伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン( オフィス伝わる )
web上で見られる資料の中で一番参考にしているものがこちら。
というかこれだけでいい気がします。みなさん読んで。
webページ内で紹介のある書籍もおすすめです。

研究者として最低限知っておきたいデザインの基礎知識(長谷 芳樹先生)
これもこれだけ読んで実装できればもうそれで完璧な資料ができます。
フォントのウェイトやカーニングの話などかなり掘り下げて解説がある
のでおすすめです。

2. 見やすさのために

スライドという媒体は、特に写真、図、グラフ、もしくは映像などの
視覚的な情報を出すのが得意です。
言語情報を重要視するのであれば、論文までいかなくても文書として配った方が
圧倒的に効率がいいです。
文字を置くにしても、色や配置などを工夫して、言語以外の情報を付与して
伝わりやすくすると素敵です。

そして何よりスライド資料というものは口頭発表と合わせて効果を
発揮するものだと心がけるべきと思います。
もちろん読ませるスライド資料もありますが、基本的に発表するときには、
口頭で言うところをフルでスライドに起こす必要はありません
スライド上に書いてあることを読み上げられるのは、
一般的に聴く側のストレスになりかねないので注意が必要です。

以下にいくつか一般的なポイントを順不同で列挙します。

箇条書き

ライティングのときに1パラグラフに1主張とするのと同様に、
1スライドに1つの内容を心がけると伝わりやすいかと思います。
人が一度に覚えられるのは3~4つの事だと言われているらしく、
1枚のスライドの中に箇条書きする場合は3~4つまでにしています。
(情報源が不明で申し訳ないです)

文章

スライドの中に箇条書きで文字をつらつらと書く部分ですが、
可能な限り体言止めにして、かつ文章にならないようにしましょう。
文章よりももっとまとまった表現にしましょう。

例えば、

・FATFはFinancial Action Task Force on Money Launderingの略したもので、国際的にマネー・ロンダリング対策をするために設立された政府間機関です。

は全然ダメで、

・FATFはFinancial Action Task Force on Money Launderingの略
・マネー・ロンダリング対策をするために設立された政府間機関

のように適宜内容を分けたり削ったりした上で、
体言止めにしてスッキリさせましょう。

字体

スライドで使う字体ゴシック体(サンセリフ)を使います。
(cf. 文章には明朝体 ブログは…?

フォント

フォントにはこだわりを持つことをお勧めします。
デザインに凝ったフォントはタイトルだけ、など一部に
限って使うようにしましょう。
またサイズは地の文で20後半〜32ptくらいをよく使います。

またプロポーショナルフォント( 文字によって幅が変わる)推奨です。
逆を等幅フォントと呼びますが、コードを示す以外には使わない方がいいです。

それから、フォントを選ぶ際に復数のウェイト(太さ)が用意されているか、
を確認することをおすすめします。
例えば私がよく使う源真ゴシックには7つのウェイトが用意されています。
強調したいときに太字(Bold)を使用することがよくありますが、
基本機能の太字変換した文字と、予め用意された太字のフォントの文字では
後者の方がかなりきれいに見えます。

フッター

日付やページ数、発表タイトルなどあると親切です。
ただ小さくて読めないのも意味がないので、デフォルトよりは大きくする
ことをおすすめします。

目次

目次ページがあると聴く側の心構えができます。
ただし、ただ単に目次を作って「今日はこの内容で話します」だけで、
次ページへ遷移するのはもったいないです。
目次を出す以上は、「このパートで実験の目的と内容を説明します」など
口頭で具体的に説明を加えるのがいいです。
(聴く人はそれぞれどこに興味があるかわかりません。
人によっては予稿集などの前情報から「実験手法」のみに興味があるなどの
パターンが十分にありえます。
ましてやポスターのように適宜話の内容を変えることも難しいので、
あらかじめ話す内容を説明することは結構大切。うれしい。)

各スライドのタイトル

必ずそのスライドの内容が、タイトルを見ればわかるようにしましょう。
シンプルで過不足なく内容を説明できるタイトルです。
例えば「実験2」というスライドタイトルは実験に関する条件を載せている
スライドなのか、それとも結果なのか、結果に対する考察なのか、
さっぱりわかりません。「●●実験の結果」など単独でわかるものにすること
を心がけると素敵です。

そして同一資料内で同じタイトルをつけることがないようにしましょう。
発表後の質疑でスライドタイトルを指して質問や意見をいただくことが
あるので一意に定まるようにしましょう。

色の使い方

背景色と同系統、あるいは近い明度のものは避けましょう。単純に見えません。
発表環境によってはプロジェクタの調子が悪かったり、
聴衆の中に色覚が弱い方がいらっしゃったり、
そういったケースも考えてくっきりと見えるスライドにしましょう。
(深く考える必要はありません、白背景に黒文字でいきましょう。)

主張したい色、サブで主張したい色の二種類を決めてそれ以外は
可能な限り避けましょう。統一感のあるスライドは美しい。

画像

ネットで拾ってきた適当な画像は使わないようにしましょう。
薄い文字で「sample」とか入っているケースを稀に見ますが、
本当に最悪のパターンです。リテラシーがないと烙印を押されます。押します。
いらすとやさんに感謝しましょう。

解像度が極端に低いものも避けましょう。PCの画面で見るより遥かに
ジャギーが拡大されて見えます。

色で述べたのと同じ理由で、場合によってはコントラストを強めたり、
シャープネスをあげたりしましょう。

折り返し

場合によってはページ端に至るほど文が長くなって、
折り返されることがあります。
その折り返される位置をなるべく意味のある区切りにすると
読みやすく、綺麗になります。
本ブログでもブラウザを細めたりスマホで見たりすると
、適切に改行した場合に比べて読みにくくなります。

終わり方

ここは人それぞれ違いがかなり出るかもしれません。
まず「ご静聴ありがとうございました」とか書かない。
(ご静聴するのはある意味当たり前
それと参考文献も出しません。あの最後の一瞬で見えないので。

隠しスライド

質疑応答などで使うことを想定とした、
個々のデータなど発表の本筋を説明するのには使わないけど、
あると理解しやすいものなど隠しスライドとして持っておくと、
何かと役に立ちます。

3. パワポのノウハウ

ここから先は実際にpowerpointでスライド資料を作りながら、
細かなノウハウを紹介します。
環境はPowerPoint for Office 365で、お持ちの環境と違う点があるかもですが、
ご了承ください。

起動

Fig. 1 powerpoint 起動後

起動直後の画面はこんな感じ(Fig. 1)ですね。

この状態の[新しいプレゼンテーション]を選択して、
白紙から開始します(Fig. 2)。

Fig. 2 新しいプレゼンテーション 作成後

スライドマスターの編集

「スライドマスター」の編集をして、資料内で共通の見た目を作ります。

Fig. 3 スライドマスターの開き方

[表示タブ]の[スライドマスター]という項目を選択します。(Fig. 3)

Fig. 4 スライドマスター編集画面

Fig. 4のスライドマスターでそれぞれページのレイアウトを変更できます。
(スライドマスターに関する公式ページ→スライドマスターとは

Fig. 5 スライドマスターとレイアウトマスター

Fig. 5 に示したとおり、スライドマスターの中に、
スライドマスターとレイアウトマスターがあります。
命名規則ちゃんとしてほしい。
スライドマスター…どのレイアウトにも影響。フォントを全体で揃えるなど。
レイアウトマスター…対象のレイアウトのみに影響。各要素の配置の変更など。

Fig. 6 スライドマスターでフォントを変更

まずスライドマスターでフォントを変更します(Fig. 6)。
スライドマスターを開いた状態で[Ctrl]+[A]を押して全選択、
[ホーム]タブから好きなフォントに変更します。

見やすさのため+自分の好みで変更を加えます。
以下、変更点↓

  • ページタイトルのフォントを太く
  • コンテンツ部分の文字を一段階大きく(一番上の階層の文字が32pt)
  • フッターの文字を一段階大きく(14pt)
  • 文字全体を濃い灰色に
  • 箇条書きの点を変更

そうして出来上がったのがこちら(Fig. 7)

Fig. 7 変更を加えた後のスライドマスター

次にレイアウトマスターを変更していきます。
全てやるのは大変なので、タイトルページと通常のページのみ変更します。

まずはタイトルページから。特に見やすさに問題なければ、
意匠に取り組むと良いです。

Fig. 8 タイトルのレイアウト

そうこうしてできたタイトルページのレイアウトがFig. 8です。
ちょっとシンプルすぎるかもしれませんがこのくらいでも十分だと思います。

通常のよく使うページには[タイトルとコンテンツ]という
レイアウト名がついています。これも見栄え良くしましょう。

Fig. 9 タイトルとコンテンツのレイアウト

Fig. 9 にタイトルとコンテンツのレイアウトの変更例を示しました。
わかりにくいですが行間をデフォルトから1.0にして、若干広くしました。
[ホーム]タブから[行間]ボタンを選択し、変更ができます。

さて、ここまで出来たら[スライドマスター]タブから
[マスター表示を閉じる]をクリックして元の編集画面に戻りましょう。

Fig. 10 マスターを編集した結果が反映されている様子

Fig. 10のように[新しいスライド]から「タイトルスライド」と
「タイトルとコンテンツ」のそれぞれマスターでの
変更が反映されているのが確認できます。

フッターの追加

[挿入]タブから[ヘッダーとフッター]をクリックすることで、
メニューがポップアップします。

Fig. 11 [ヘッダーとフッター]メニュー画面

日付と時刻、スライド番号、フッターの三項目ありますが、
3つとも使うことをおすすめします。

日付と時刻…発表日時が決まっている卒論発表や学会発表の場合は
日付固定がおすすめです。
そうでなくても固定にしておくと、後から見返したときに発表した日が
明確にわかるようになります。

スライド番号…質疑応答で役に立ちます。

フッター…スライドのタイトルかなんかを入れておくといいかも。
(そこまで必要ない)

また[タイトルスライドに表示しない]もチェックしておくといいです。
フッターとして記述するよりも別途テキストボックスを入れるか、
サブタイトルのとこに書く方がかっこよくなります。(個人の好みですが)

小技・小ネタ

ショートカットの利用

作業の効率化というと厳しいですが、覚えるだけでかなりストレスが減る上に、
自分の頭に思い描いているものと画面上にできているものの距離が
ぐっと近くなるのでショートカットはばんばん使うことを強くおすすめします。

「powerpoint ショートカット」で調べると胡散臭いブログがたくさん
ひっかかりますが、Microsoft公式でショートカット一覧が提供されています。
キーボード ショートカットを使用して PowerPoint プレゼンテーションを作成する

リンクを出してハイ終わりだと寂しいので良く使うものを紹介します。

Ctrl+ドラッグ
複製します。複製したコンテンツをそのまま動かせるので便利です。

Ctrl+Shift+ドラッグ
上の応用。高さや左右の位置を、複製元に合わせて複製ができます。

Ctrl+> (Ctrl+Shift+.)  Ctrl+< (Ctrl+Shift+,)
テキストを選択した状態で行うとフォントサイズが変わります。
左が 小さく、右が大きくなります。

Ctrl+(オブジェクトサイズ変更点)ドラッグ
挿入した図形などのオブジェクトを選択すると境界線上に点が出てきて、
これを動かすとサイズが変わるのはご存知かと思いますが、
これをCtrl押しながらやると対称的にサイズが変わります。

Shift+F5
言わずとしれたパワポショートカットの雄。
現在表示しているスライドからスライドショーを始めます。

整列

画像や図形、もしくはテキストボックスなどのオブジェクトを復数きれいに
並べたいときに使います。知らないと損します。
詳しくは以下のリンクへ

オブジェクトを整列または配置する(Microsoft)

型抜き

復数図形を組み合わせて図を作りたいときに。

結合する図形を組み合わせ、図を描画します。 (Microsoft)

既定のテキストボックス

スライドマスターではテキストボックスのスタイルを固定できません。
所望するテキストボックスができたら、それを右クリックして、
[既定のテキストボックスに設定]をクリックします。
そうすると新しく作ったテキストボックスも同じスタイルになります。

隠しスライド

追加の資料、参考文献一覧など、本編では時間がない、優先度が低い
ものを隠しスライドとして置くときに。
標準ビューなら左側にならんでいる中で非表示にスライドを右クリック、
[非表示スライドに設定]で隠しスライドにできます。

スライド開始番号

タイトルスライドのページを0ページとして数えたい場合は、
[デザイン]タブ→[スライドのサイズ]→[ユーザー設定のスライドのサイズ]で
[スライドのサイズ]メニュー画面を開いて、
[スライド開始番号]を0に設定すればできます。
「スライドのサイズ」でページ数設定するのおかしくないですか?

テーマの保存

せっかくスタイルを整えたスライド、また次回新しく作るときも、
同じ作業するのはつらいのでテーマとして保存して、
何度でも使えるようにしましょう。

Fig. 12 テーマ保存ダイアログに至るまで
[デザイン]タブからスライドのテーマが並んでいるボックス端にある拡張ボタン
をクリック、[現在のテーマを保存]からダイアログ(Fig. 13)が開けます。

Fig. 13 現在のテーマを保存ダイアログ

自分で作ったテーマを保存して誰かに渡したり、
誰かのものを使ったりということができます。

テンプレートという似た別の形式もあります。
スライド デザイン (テーマ) をテンプレートとして保存する (Microsoft)

4. まとめ(?)

今日のスライドを.pptx、.pdf形式で公開します。
pptxの方は源真ゴシックが入っていないと正しく表示されません。

sample_of_slide(Github)

ノウハウを散文的に並べただけなので特にまとめることもないです。
したがって、ちょっと思ったことを書きます。
ポエムなので、すっ飛ばして大丈夫です。

発表資料に関してはそれぞれの宗教が色濃くでます。
例えば私なんかは、行間も開けて、文字も大きくして、
なるべく1スライドに1主張になるように心がけています。

しかし、これを悪く思う人もいるわけです。
同じ情報量であれば、余白をとって文字も大きくしたスライドは、
そうでないスライドに比べてまくる回数が増えます。
このペラペラまくるようなスライドはよくない、
とおっしゃる先生は少なくありません。
そもそも、見た目に凝っている時間があれば研究しろ、
というちゃぶ台返しまで待ち構えているパターンも多いです。

じゃあ何を信じて見やすいスライドを作ろうとしているかというと、
単純にいろんなスライド見ていく中で
理解しやすい資料像が形成されていった結果なんです。

さらに指導教員の方針もあります。
学生であれば先生の、会社勤めであれば上司の言葉を信じるが吉、
そうでなければ自分の信じたいものを信じたらいいと思います。

ただ見えにくいものは議論もしにくい。
見た目まで考えて作られているものは、それだけで理解しやすい。
ただその恩恵を受けたいと思うか否かだけだと思います。


松聲閣

肥後細川庭園 松聲閣(しょうせいかく)

文京区にはこういう素敵施設が多い。ずるい。

公式HP

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